原発いらない女たちのテントひろば~福島とともに

緊急院内集会:国連勧告「従う義務なし」に異議あり! 国際人権基準に背を向ける国・日本

7月1日(月)14:00~15:30:参議院会館講堂で上記のテーマで緊急院内集会が開かれた。昨今の政治・人権状況に危機感を持つ人々が多いことを反映してか、告知期間1週間にもかかわらず、申込み多数でより大きな会場に移しての開催だった(参加者128名)。
主催はアムネスティ・インターナショナル日本/ヒューマンライツ・ナウ/反差別国際運動日本委員会(IMADR-JC)/国内人権機関と選択議定書の実現を求める共同行動。
プログラムは以下の通り。

●国連の勧告が持つ意味と役割とは? ~ 日本に欠けている視点と姿勢~
寺中 誠 (東京経済大学/アムネスティ日本前事務局長/人権共同行動事務局長)
阿部浩己 (神奈川大学法科大学院教授/ヒューマンライツ・ナウ理事長)
●国連は何を指摘し、日本政府はどう応えてきたのか?
小池振一郎 (弁護士/日弁連えん罪原因究明第三者機関WG 副座長)
 ~ 拷問禁止委員会日本審査の状況から見える日本の姿勢~
伊藤和子 (ヒューマンライツ・ナウ事務局長)
 ~ 社会権規約委員会勧告と原発問題 ~
海渡雄一 (監獄人権センター代表)
~拷問禁止委員会勧告・特に死刑、代用監獄などから考える ~
原 由利子 (反差別国際運動日本委員会事務局長)
 ~ 人種差別、朝鮮学校無償化排除、ヘイトスピーチから考える日本の姿勢 ~
渡辺美奈  (アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)事務局長
 ~ 国連は「慰安婦」問題をどう考え、勧告してきたか ~

国連の勧告が持つ意味と役割
5月27日にジュネーブで開かれた国連人権理事会で、福島原発事故後の健康問題に関する調査の報告があった。去年11月に来日し、約2週間にわたり現地調査などを行なった特別報告者アナンド・グローバー氏の報告と勧告は日本政府にとって厳しいものだった。この勧告を受けて5月29日に緊急院内集会「国連「健康に生きる権利」特別報告者アナンド・グローバー氏の勧告を歓迎~」が開催された(報告と勧告の内容についてはアナンド・グローバー報告@ヒューマンライツ・ナウHP参照)。
集会では、この報告は「原発被害に苦しむ多くの人々と、多くの支援者の声をもとに作成したもの」。「私たちは、日本政府がこの報告に真摯に耳を傾け、現在までの避難、賠償、健康対応に関わる政策を抜本的に見直すことを求めます」という共同アピールが採択された。
しかし、日本政府は勧告に法的な拘束力がないとして勧告に真摯に向き合う姿勢を見せていない。人権委員会に提出した「反論書」で「報告は個人の独自の考え方を反映し、科学や法律の観点から事実誤認がある」と言い切っている(東京新聞6月22日付け)。
このような日本政府の姿勢をどのように考えたらよいのか。まず、寺中誠さんが「国内法と国際人権基準」という観点から説明した。
政府は「勧告は法的拘束力をもたない。従って従う義務はない」と決定した点に問題がある。
資料1)日本政府の国際人権条約批准状況(一覧表になっているが、非常に狭い分野に限定して批准していることがわかる)
資料2)日本政府の国際人権条約機関審査状況(批准されている条約が少ないのに、さまざまな勧告、勧告が履行されないことに対する懸念等が見られる)
勧告自体は「きちんとやってください」というお願いで、たしかに法的拘束力はないが、条約に基づいて出されているので、条約を基本に考えるべきである。憲法第98条2項に「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」(国際協調主義)と書かれている。(「確立された国際法規」とは、慣習国際法を指すものとされる)。
条約は憲法の下位に置かれるが、最高裁は違憲立法審査が出来ない。憲法はそもそも条約と適合的であることを前提としているから。そうでない場合は、憲法の解釈を変えながら条約適合的に解釈し直し、憲法と条約は同じ立場に立っているということにしなければいけない。
勧告は「法的拘束力がない→だから履行義務はない→ただちに実施しなければいけないものとは考えていない」ということは、条約の実施義務を果たしていない。条約に入った以上、日本は条約に立ち戻ってその精神を国内で実現していく義務がある。「実施義務がない」とすることは、条約自体を否定することになる。
国際人権基準とは、国際人権条約とその他のガイドライン(原則、規則、宣言、準則など)、条約の解釈に関する条約機関の見解(一般的意見、報告書審査の祭の総括所見、個人通報の際の見解など)、国連の総会や人権理事会、特別手続き(特別報告者、作業部会)等により示された見解である。
「最終的には条約本文、そしてそれと適合的な憲法を通じ、国際人権基準は「包括的に」国内法に影響する。従って、条約遵守義務を負う以上、関連する勧告やガイドラインについても、「現実に向けて努力すべき義務がある」。度々言われていることは、日本の法曹(裁判官・検事・弁護士)、政治家、公務員等は条約について何ら理解していない。国内法のみでOKということでやっていれば、世界から孤立しまってもいいんだという方向に舵が切られてしまう」。
 安部浩己さんは、国連拷問禁止委員会で内田人権人道大使は何に対して「シャラップ!」(黙れ!)と言ったのか。大きく動きつつある世界に対して戸惑っていることを表していると思う。
 勧告自体に法的拘束力があるかないか、と議論するのではなく、市民の側から議論の枠組みを別の言葉で立て直すことが必要である。憲法98条2項の「条約は誠実に遵守する義務がある」ということは、条約機関によって報告を受けて審査し、勧告されたことを尊重する、すなわち、きちんとその勧告と向き合うことが条約機関と対話するということ。特別報告者は独立した専門家であり、プログレッシブな内容をもつようになってきている。力関係が変容しつつあるからだ。
 立憲主義と民主主義を日本の憲法状況の中で考え直す必要がある。グローバルに見れば、真の意味の民主化(の動き)が進みつつある。国内の民主化をもっと進め、立憲主義をきちんと学び、人権条約をきちんと位置つけ、あらゆる場で主張していくことが必要だ。

勧告を受けた各項目についての報告
 次に勧告を受けた各項目についての報告が、その活動を中心的に進めて来た団体の代表から行われた。それぞれが重要な項目であるが、各報告者の持ち時間が少なかったため、質疑応答をする時間もなく、閉会となった。ここでは原発関係の発言に限定して取り上げておく。
 伊藤和子さん(ヒューマンライツ・ナウ事務局長)は社会権規約委員会勧告と原発問題について「福島:国連<健康に対する権利>特別報告者の勧告に基づき、日本政府は今こそ、原発影響後の住民保護について、抜本的な政策転換を図るべき」とのヒューマンライツ・ナウの声明を発表した(内容についてはヒューマンライツ・ナウのHP参照)。
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▲伊藤和子さん(ピンボケですみません)

 また、このテーマについては、7月24日(水)に「国連人権委員会の勧告を受けて 福島第一原発事故後の住民保護の現状と課題」と題するシンポジウムが開催される(注)。
 各分野からの報告者の発言からは、国際水準から取り残されている日本の現状が浮き彫りにされた。この状況をどのように変えて行くのか。阿部さんが言われたように、「市民の側から議論の枠組みを別の言葉で立て直す」ことが重要であると思わされた。

*時間がなくて未消化のまま、書き起こした点もあり、わかりにくかったらすみません。ぜひ、録画をみて理解を深めてくださるよう、お願いします。
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/87932
**当日配布資料はヒューマンライツ・ナウのHP(http://hrn.or.jp/)からダウンロードすることが出来ます。
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注) シンポジウム「国連人権委員会の勧告を受けて 福島第一原発事故後の住民保護の現状と課題」 
●日 時/2013年7月24日(水) 午後7時から9時
●会 場/上智大学 四谷キャンパス1号館403号教室
●主 催/特定非営利活動法人ヒューマンライツ・ナウ(HRN)
       上智大学グローバル・コンサーン研究所

(まとめ・写真:あっきい)

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Author:原発いらない女たちのテントひろば
「未来を孕むとつきとおかのテント行動」を引き継ぐ新ブログにようこそ!

「原発いらない女たちのテントひろば~福島とともに」は
東京・霞が関の「経産省前テントひろば」を拠点とした、女性による脱原発・反原発のアクションです。
 年齢もバックグラウンドも様々な女たちが、福島原発事故に対して立ち上がった「原発いらない福島の女たち」につながろうと集まって来ました。
 それ以来、つねに新しい仲間を迎えながら、「原発を止めたい」「子どもたちを守りたい」という思いのもとにテントを拠点に多様な活動を続けています。
 生きること、暮らすこと、命をつなぐこと。小さく、ささやかなものへの眼差しを大事にして、「原発」という強大な構造を変えて行けることを固く信じて。
 このブログはもう一つの「テントひろば」。誰にでも開かれた、語らいと学びと交流の場です。世界中の女たちに呼びかけます。
「強く、そしてしなやかにつながっていきましょう!」

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