原発いらない女たちのテントひろば~福島とともに

強制捜査はまだか!! ~告訴受理から1年を迎えて~いわき報告5

イ・ヂョンミさんのミニコンサートのあと、二人の弁護士さんからの報告がありました。
録画:https://www.youtube.com/watch?v=BN62JA4haq0(数字は録画の開始時刻)



海渡雄一弁護士からの報告(2:14:40)
弁護団の海渡雄一です。さっき話し忘れたということで、河合団長から映画の話をしろ、と言われていますので、最初に話します。河合監督、わたしが企画、脚本ということで、2人で今、一生懸命やっているんですが、今日、このあとお話しする「請戸の浜の悲劇」というのが、この映画の第2部になる予定です。映画は「わたしたちは原発でしあわせでした」、そういう題です。日本国民全体が原発の夢を見ていた。その夢からさめよう。そういう意図でネーミングして、やろうというふうに思っています。今、ここでもカメラで一生懸命にとっていただいています。河合先生が全編に登場する予定になっていますので、公開の折には、全国で上映会をやっていただきたいと思います。

海渡弁護士

それでは「告訴受理から1年を迎えて ―浪江町請戸の浜の悲劇を繰り返してはならない」というプレゼンをさせていただきます。実はわたくし、このプレゼンを、他の部分も付け加えてやるんですけども、浜岡原発訴訟でも、東海第二原発訴訟、東電株主代表訴訟でも、このプレゼンやりました。なぜ、これをやるか、といいますと、まず、裁判官に福島の原発事故の被害で何が起きたのか、きちっと知ってもらわないと、もう出発点にならない、そういう思いで必ずこの話をするようにしています(以下、プレゼンの要約)。

2013年4月5日、日弁連調査団が浪江町を調査(2:16:55)。 
我々、原発事故の前に、原発事故が地震によって起きると、原発震災が起きる。震災の被害者の人が原発事故のために助けられなくなる、そういうことが起きるんだ、とずっと言ってました。そのことの共通認識をもつべきだと思います。そういうことが起きたとはっきり言えるのが、これからお話しする浪江町請戸の浜の事件ではないか、と思うんです。

・福島県浪江町副町長渡邊文星氏の2012年8月日弁連シンポにおける報告
 「報告をさせていただきます前に、皆様、ほんの少しの時間でも結構です。想像していただけないでしょうか。
 何の前ぶれもなく、帰る家を失う。働く場所を失う。友を失う。先祖代々受け継がれ、守りぬいてきた土地を失う。永代供養がなされていた墓を失う。生まれ育ったふるさとを失う等、生活のすべてを失い、以前の平穏な日常生活をいつ取り戻せるか分からない状況が延々と続くとしたら、どう思われますか。
 もし、突然に、意に反したむような被ばくにより、放射線に起因する発がん等の身体への悪影響に恐怖し、常に健康不安を抱え、怯えながら一生涯を送ることになったとしたら、どう感じられますか。
 これから話します浪江町現地からの報告を聞いていただき、これまでに、日本社会が経験したことのない、過酷な原発事故災害によって甚大な損害を被った町民の苦悩、苦痛を想像していただき、現状を知って頂きたいと思います」。
・3月12日早朝からの捜索予定だった。
・何人かの尊い命が救えた可能性があった。
 3月12日午前5時44分、突如、原子力発電所から半径10km圏内に避難指示が発令された。この避難指示により、津波被害者の行方不明者の捜索活動が中止となった。
・浪江町の町民が避難した津島地区
実は請戸の浜は線量は非常に低かった。津島地区は今も10μSv、当時はものすごく高かったと思われる。
・地上線量は7.88マイクロシーベルト
・浪江町足立運動場仮設住宅自治会長本田昇さんの話(2:20:34)
 「請戸の浜に立つと、今も助けを求める泣き声が聞こえる。翌朝の救助活動の準備のために浜を回った消防団員は、多くの被災者の助けを呼ぶ声を聞いていた」
・海岸に立つマリンセンターの廃墟。波は屋上を超えたが、浸水を免れたレストランには3.11の新聞が残されていた。
 請戸の浜では182名が亡くなった。38名は特例死亡。ここの線量は0.2μSv以下。スピーディが正確に公開されていれば、早朝の捜索で救えた命があった。
・広河隆一氏撮影『新人間の戦場』より。2011年4月、請戸の浜で子どもの遺体を運ぶ警察官。
・大震災の日から約1ヶ月後に実施された捜索(写真、同書)
・「生きている声」(二階堂晃子詩集『悲しみの向こうに ―故郷・双葉町を奪われて』より)海渡弁護士の朗読(2:22:00)

 「生きている声」  二階堂晃子
確かに聞こえた
瓦礫の下から
生きている声
うめく声

人と機械を持ってくる!
もうちょっとだ!
がんばれ!
救助員は叫んだ!

3.11
 14:46 地震発生マグニチュード9.0
     請戸地区一四メートル津波発生
15:00 原発全電源喪失
19:03 原子力緊急事態宣言発表
21:23 原発3キロ圏内に避難指示
翌5:44 避難指示区域一〇キロに拡大

 
救助隊は準備を整えた
さあ 出発するぞ!
そのとき出された!町民全員避難命令
 呻き声を耳に残し
 目に焼き付いた瓦礫から伸びた指先
 そのままに逃げねばならぬ救助員の地獄
 助けを待ち焦がれて絶望の果て
 命のともしびを消して行った人々の地獄
 請戸地区津波犠牲者一八〇人の地獄
 それにつながる人々の地獄

 放射能噴出がもたらした捜索不可能の地獄
 果てしなく祈り続けても届かぬ地獄
 脳裏にこびりついた地獄絵
 幾たび命芽生える春が来ようとも
末代まで消えぬ地獄

・時間が止まっている常磐線浪江駅(2:24:25)
・新聞販売店に積まれ、配達されなかった3月12日の朝刊
・「大地震のため終日運転を見合わせます」(2011/3/11)の掲示板
・浪江の悲劇を繰り返してはならない。

過失も因果関係も明白なのに、なぜ、検察は強制捜査もしないのか(2:25:40)
・2013/6/29 共同通信による不起訴見込み記事
・対策は防潮堤だけではない
実際には想定以上の津波が来ることは明らかだった。M8の地震は確実に来るだろうと言われていた。そういう状態の下で、何の対策も取られていなかった。
何も対策をとらなかったことが正しかったのか。そこに責任追及の余地はないのか。
告訴人らの疑問に正面から答える捜査を最後まで求めていきたい。
因果関係のある被害の存在は明白(2:27:30)
 請戸の浜の救援が出来なかったことについて、浪江町の遺族が申し立て。
 酪農家、須賀川のキャベツ農家の事件
・キャベツの出荷制限の翌日に自殺(2011/3/24)
・山木屋事件
養鶏業渡辺はま子さんが長引く避難生活の中で、一時帰宅の際に自宅に近くで焼身自殺(2011年7月)

健康被害の発生も予測される(2:28:53)
 福島県健康管理調査の結果(2013年5月27日)
 従来想定されていた甲状腺ガンの一般的な発生率をはるかに超過している。
 専門家の中にも、これは疫学的な因果関係があると言わざるを得ないのではないか、とはっきり言われる方も出てきている。
・疫学の専門家、津田敏秀先生(岡山大学)「甲状腺がんデータの解釈整理 ―とりあえず3つの仮説」(2:29:22)

もし、不当にも検察庁が不起訴としても、闘いは続けられる(2:30:02)
 報道機関は不起訴になったら、どうするのかというコメントを求めてくるが、「不起訴にするのはおかしい」という解説記事を書いてほしい(拍手)
・不起訴処分に対して検察審査会への申し立てが可能(2:30:49)
 万が一の不起訴の時には、検察審査会への申し立てを決意しよう(拍手)
 検察審査会で2回起訴相当の決定が得られれば、強制起訴が出来る。
 検察庁が集めた資料を引き継いで、検察官役の弁護士が検事となって事件を進める。
 小沢さんの事件の時は余り評判がよくなかったが、JT西日本尼崎事故では強制起訴がなされて、裁判が行われている
 そういう道が残されているんだということを確認しておきたい。
・検察審査会は市民の力で刑事裁判を提起出来る機関
 検察審査会のメンバーは一般市民13人
 有権者名簿から無作為抽出で選ばれますから、今日、ここに来られている福島県民の方が検察審査会の委員に選ばれることもありえます。今やっている裁判員(制度)とちょっと似ています。
 わたしが提案したいのは、被害者の生の声を検察審査会に聞いてほしい。これが実現出来れば、大変大きな効果があると思います。それはわたしが担当した日航ジャンボ機墜落事件のときの経験から言えることです。
 二度の起訴相当を必ず勝ち取り、事件を起訴に導いて、裁判が開かれるということを目ざしましょう。
絶対にあきらめないで闘い続ける中で、展望を切り開こう(拍手)。
 *海渡弁護士の力強く、情熱のこもったプレゼン、だいぶ端折ってしまいました。ぜひ、録画をご覧ください。

保田行雄弁護士からの報告(2:35:25)
皆さん、こんにちは。今、海渡先生が大体、話をしてしまったんですけれども、やっぱりあきらめないで闘うということの大事さを痛感します。昨年8月に受理してもらったわけですけれども、この福島原発の告訴をしようと思いたった3月の学習会の頃には、この福島第一原発の事故をホントに刑事処分として、国民の声として求めていくことが果たして可能かどうか、とそういう感覚だっただろうというふうに思います。それが急速に告訴人が集まって福島での第一次告訴、そして全国での大きな告訴まで実現出来ました。
それから1年、検察の動きはどうだったでしょうか。やはり、これだけの事件と被害ということからみれば、全く不十分であります。強制捜査をしてない、実際にこの福島原発事故が業務上過失致死傷罪という犯罪を構成要件としては成立するという風に考えています。
ひとつは予見可能性の問題。今回の場合、地震と津波を予見出来たかどうか。福島第一原発に津波の結果、被害を与えるような地震や津波を予見できたかどうか、この点が一つの争点です。
二つ目は結果外可能性(?)です。そのために東電がやるべき対策があったかどうか。
第三にその結果、人の生命や健康に傷害を与えたかどうか。

保田弁護士

検察では聞くところによりますと、裁判所の令状をとって、吉田所長等の国会事故調での調書を入手したというふうに聞いています。とすれば、その結果、本件の事故との因果関係を含めて、ここはクリアをしているわけです。
新聞等報道によると、結果外可能性、先ほど河合先生もおっしゃいましたけれど、何百億とかかる防潮堤を作れ、なんということは言っていない。非常用発電機を分散したり等、それは短期間にそんなに費用がかからなくて出来る対策はいくらでもあった。それはおそらく検察庁もそのように考えているだろうといふうに思います。
新聞報道等によりますと、この予見可能性の点で、東電がこの福島第一原発を覆い尽くすような、そういう津波を予見出来たのかどうか、こういう点で疑問が残るということなんですね。そういうことを考えているようだということのようなんです。また、不起訴に向けて、先ほどの共同通信の記事によりますと、項目毎に説明を詳しくしよう、ということを考えているなどと伝えられています。
ところが、もともと原発とはどういうことか、ということをやっぱり考えてほしいんですね。
1つは津波、これだけの津波が来るということは、千年に一度と言われているかもしれませんが、大きな地震が来るということは警告されていた。M8以上のものが来るんじゃないか、ということが言われていた訳です。
地震があれば、当然、津波がありうる訳です。さらに原発という装置がどんなに危険なものか、これは広瀬さんもずっとおっしゃっている。だからその安全対策というものは、本当にその予想そのものを超えて起こるということを、やっぱり考えて行かなければならないような装置だったんた、ということを検察庁に十分、考えていただきたい、というふうに思っています。

この点に関して、わたしは告発・告訴代理人をやったエイズのときにですね、医者で帝京大学の副学長である安部英というのが起訴されて、一審では無罪になったんです。僕は一審で無罪の可能性はあるな、と思ってました。なぜかというと、安部先生と一緒に血栓止血学会という血友病の学会を作って、そこで安部さんと同じように、言われる通りに血液製剤は危なくないと言って注射をした全国の専門医がみんな出て来たんです。犯罪者のために犯罪者が証言するんですよ。無罪になるに決まってるじゃないですか。
今回、同じなんです。学者がこう言っていた、そんな犯罪を犯したような学者に聞いて、東電の弁解をするようなことになっては絶対ならないと思います(拍手)

検察庁には、世界中の地震と津波に関する叡知を集めて、福島の第一原発が津波によってやられないというような、東電の想定が科学的に見て正しかったのかどうか、それを徹底的に究明していただきたいというふうに思います。これが1点です。
もう一つは、強制捜査の問題です。犯罪の捜査においては強制捜査抜きに不起訴なんてありえません。強制捜査をしないというのは、犯罪そのものが最初の構想自体から成り立たないという時であります。証拠の評価に関して、証拠があるかないかに関して強制捜査をしないまま結論づけるということは、これはあってはなりません。
今、新聞報道されているところによると、学者が言ったり、東電がそういった津波があるかないか、予見出来たかどうか、証拠がないと言っている。しかし、この津波や地震の危険性について一番考えていた人たちは誰でしょう。それは東電であり、経産省であり、原子力安全保安院じゃないですか。こういうところで彼らが実際、どんなことを考えていたか、その文書を、その議事記録を実際に入手することなしに捜査を終結させるなんてことは、断じて認めるわけには行きません(拍手)。この点はぜひ、検察庁に強く訴えかけていこうではありませんか(拍手)。

エイズの時ですね、厚生省の生物製剤課長はエイズの被害製剤を注射することを続行すると、書いていたんですね。当時、我々は自民党の厚生族のドンであった持永という、事件当時、薬品局長だった彼を起訴してほしいということを強く言っていた。それで検察庁はようやく厚生省の捜査に乗り込んだわけですけれども、幸いにですね、幸いというか、厚生省は当時まで、そういった局長会議であるとか、部内の会議について一切、議事録を作っていなかったんですよね。だから、持永はその政策決定に関与したと言ったという証拠がなくて、起訴出来なかったんです。
その後、その捜査を指揮していた特捜部の検事に会って聞いたんですが、法務省はやっぱり議事録を作っているそうですが、行ってみたら、議事録はない、厚生省は昔から作ってないんです、というんですね。役所同士もそのような状況だったんですが、東京電力に関しては、そういった部内の資料があるかどうか、メールのやりとりだけではダメです。実際に、様々な会議が行われたと思われます。そしてそれは原子力安全保安院と連絡を取りながらやっているわけです。そういうことに対する深い捜査を抜きにですね、結論が出るはずがありません。

そういう点で、わたしたちはまだまだ検察庁に対して強く要求をして、そして徹底的に捜査を遂げろ、という声を集中して行きたいというふうに思います。法律的案件に関しては、東電株主訴訟等で河合先生、海渡先生が世界中からいろいろ資料を集めて提出されています。そういう点で、非常に水準の高い意見書を出しておられます。
そういう点であと、残る点はなにか。検察庁は本気で強制捜査をするかどうか、それにはやはり、国民の怒りの声が、そして福島県民の声が、いかに福島地検と東京地検に集中されるか、ということにかかっていると思います。これから夏場に結論を出すとか言っているわけですが、ぜひ、短期間ですけれども、福島地検と東京地検に強制捜査をしない結論は絶対に許さないという声を集中させて行こうではありませんか(拍手)。
そのために、全国から抗議ハガキを送るとか、いろんな創意工夫で声を集中していこうではありませんか。そして強制捜索からさらに起訴へと、検察庁を突き動かして行く、そういう運動を作っていきたいと思います。わたしたちも頑張りますので、皆さんもぜひ、強制捜査から起訴まで頑張りあおうではありませんか。よろしくお願いします。

(まとめ:あっきい  写真:nomorefukushima2011さんの録画より)

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Author:原発いらない女たちのテントひろば
「未来を孕むとつきとおかのテント行動」を引き継ぐ新ブログにようこそ!

「原発いらない女たちのテントひろば~福島とともに」は
東京・霞が関の「経産省前テントひろば」を拠点とした、女性による脱原発・反原発のアクションです。
 年齢もバックグラウンドも様々な女たちが、福島原発事故に対して立ち上がった「原発いらない福島の女たち」につながろうと集まって来ました。
 それ以来、つねに新しい仲間を迎えながら、「原発を止めたい」「子どもたちを守りたい」という思いのもとにテントを拠点に多様な活動を続けています。
 生きること、暮らすこと、命をつなぐこと。小さく、ささやかなものへの眼差しを大事にして、「原発」という強大な構造を変えて行けることを固く信じて。
 このブログはもう一つの「テントひろば」。誰にでも開かれた、語らいと学びと交流の場です。世界中の女たちに呼びかけます。
「強く、そしてしなやかにつながっていきましょう!」

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