原発いらない女たちのテントひろば~福島とともに

今年の「シェーナウ電力革命児」賞、3人の日本人が受賞

■シェーナウ電力会社が表彰
ドイツ南部の小さな町シェーナウに市民グループが設立した、ドイツ初の市民電力会社「シェーナウ電力会社」(EWS)の成り立ちを描いた映画「シェーナウの想い」をご覧になった方も多いと思う。第2テントでも昨夏、上映会を開いた。
そのEWSが毎年電力の分野で革命を起こした人に贈る「電力革命児賞」を、今年は日本人3人に授与した。外国人に贈るのは初めてだという。

■3人の日本人を表彰
3人とは、福島から岡山に避難して「子ども未来・愛ネットワーク」を立ち上げた大塚愛さん(フクシマの母たちを代表して)、参議院議員山本太郎さん、EWSをモデルに福島県会津で市民参加のエコ電力供給会社を立ち上げた佐藤弥右衛門さんだ。岩上安身氏、広瀬隆氏、飯田哲也氏、伊藤宏一氏、海南友子氏、満田夏花氏らが推薦人となって選考した結果がそのままEWSに受け入れられたという。

■授賞式には斎藤公平さんが
賞の授与は6月27-29日までシェーナウで開かれた「やります 市民エネルギー」と題したEWS主催の第15回セミナー(参加者約300名)の前日に行われた。3人に代わってベルリン在住の斎藤幸平さん(フンボルト大学博士課程)が授与式に参加し、3人の賞状を受け取った。
受賞の知らせを聞いて、佐藤さんは仲間とシェーナウに行こうと思ったのだが、EWS側から「わざわざ大気圏を汚して来る必要はない」と言われたとか。いかにもEWSらしい。授与式もとてもシンプルなものだったようだ。

この賞はシェーナウ・エネルギー・イニシアティブとシェーナウ市とが共同で表彰する名誉賞であり、個人的な社会参与によってビジョンを実現し、反対を乗り切って環境保護と持続的な省エネとに貢献した人々の功績を称えて授与されるもの。受賞者はシェーナウ市のゴールデンブックに名誉ゲストとして記帳することになっている。

翌日、斎藤さんはインタビューに応えて、「日本人の運動に対してこの賞をくださったことにとても感謝しています。シェーナウの実例は、日本でも自分たちが発電が出来ることを示してくれました」と述べた。

斎藤さんの傍にいたドイツ人女性も「この賞が国際的に授与されるなんて、素晴らしい!」と言っている。

なお、この授賞式に先立って出資者の総会が開かれた。その席上、EWSを立ち上げ、その経営を担ってきたスラーデク夫妻が年齢的な理由から今年をもって退陣すること、息子が後継者となることを告げた。ただし、夫妻が完全に引退することにはならないだろう、と司会者が加えた。

■3人の受賞理由は以下のとおり

▼大塚愛さん
Image1大塚愛

大塚愛さんは震災以前には、福島で農家を営んでいたが、原発事故によって田んぼを一瞬で失ってしまった。放射能被害を恐れ、子供をつれて、家族で岡山に避難した。新たな地で大塚さんは、他の人も安全な場所へと避難し、新たな生活を始められるための手助けをするために、市民団体を設立し、パンフレットを発行する傍ら、全国で講演会を行っている。

▼講演をする大塚さん
Image2大塚愛さん
大塚さんの助けがあってこそ、岡山に避難してこれたママも数多い。また、大塚さんに限らず、全国のママたちは、それまで社会運動への参加経験などなかった人が大半であるにもかかわらず、子どもを守るという一心で互いに協力し合い、基金を立ち上げ、自主的に甲状腺検査を行い、また行政に情報公開を求めるなどして、精力的な活動を行っている。原発難民としての不安定な生活にも関わらず、日本社会の矛盾に勇敢に立ち向かう彼女たちの行動が高く評価された。

▼山本太郎さん チェルノブイリで
Image2山本

山本太郎さんは周知の通り有名な俳優であったが、原発事故後の原子力エネルギー批判によって、「過激な反原発派」というレッテルをはられることで俳優業から閉め出されてしまう。そうした困難にも関わらず、各地の反原発集会やデモに積極的に参加しながら、東日本の放射能汚染の危険性を訴え、日本の矛盾を厳しく批判した。2013年の参議院選挙で当選したのちにも、政治家として議会内で子どもたちの避難権確立の必要性や被曝の危険性を説いているが、そうした反原発活動への貢献が授賞の理由となった。

▼佐藤弥右衛門さん
Image2佐藤

佐藤弥右衛門さんは、会津で200年以上続く大和川酒造を営んでいたが、福島の事故を受けて大きな生活の変化に直面した。震災後の数多くの困難にもかかわらず、佐藤さんは原発事故原子力に依存しない持続可能な地域づくりを目指して、仲間とともに、太陽光、バイオマスや水力を用いた100%再利用可能エネルギーの市民発電を目標に掲げる会津電力株式会社を設立した。会津電力の地域分散型の電力供給の試みは、まさにシェーナウをモデルにした未来の日本のあるべき姿を示しており、その実現にむけた佐藤氏さんのリーダーシップが評価された。

EWS理事のウルズラ・スラーデックさんは「変革をもたらすため実行に移し、反対を乗り切っていくことがどんなに困難かは、わたしたちも体験からよく知っています。それには自分自身のエネルギーばかりではなく、友人たちの支援もまた必要です。わたしたちは2014年シェーナウ電力革命児賞」の授与によってそのような運動に少しでも貢献したいと思います」と語った(「プレスリリース」シェーナウより)。

筆者がこの受賞のことを知ったのは、IWJの記事だった。その後、佐藤弥左衛門さんが代表を務める「一般社団法人 全国ご当地エネルギー協会」主催の記者会見が7月15日にあることを知り、出席してみた。

この団体は「地域主導型の再生可能エネルギー事業に取り組む組織やキーパーソンのネットワーク」で、2013年6月からの準備段階を経て、2014年5月23日に設立されたばかりという。事務総長は飯田哲也さんが務めている。飯田さんは「この賞は佐藤さん個人だけでなく、全国ご当地エネルギー協会が受けた賞でもある」と言われた。

代表を務める佐藤さんのほか、北信地区幹事小田切奈々子さん(自然エネルギー信州ネットワーク事務局コーディネータ)、近畿地区幹事井上保子さん(株 宝塚すみれ発電代表取締役)、四国地区幹事豊岡和美さん(一般社団法人 徳島地域エネルギー理事)も同席し、それぞれの地域での取り組みを紹介した。この協会の特徴は再生可能エネルギーによる電気事業だけでなく、地域の自立を目指すことも視野にいれている点だ。

信州ネットの小田切さんは小さな事業でも採算が取れるように取り組んでいる。去年、シェーナウに行ったばかり、と言う。宝塚の井上さんは、宝塚スミレ発電は市民出資による2つの太陽光発電所を運営している。徳島の豊岡さんは、ある村で電気料金がタダになる村を作る準備をしている、とそれぞれの取組みを紹介した。

福島の原発事故以来、いち早くメガソーラーなどの大規模事業が立ち上げられたが、いくら再生可能エネルギーと言ってもちょっと違うのではないか、という違和感を持っていた。このような活動が各地で進めば、必然的に原発の出番もなくなってしまうのではないか、という希望を与えてくれたプレゼンだった。

■関連資料
斎藤幸平「IWJブログ・特別寄稿 
山本太郎氏など、日本の「反原発運動」がシェーナウ電力「電力革命児」賞を授賞」(この記事には3人の受賞者の紹介ビデオも挿入されている)。http://iwj.co.jp/wj/open/archives/153832#more-153832


Facebook:Elektrizitatswerke Schonau EWS 6月27日付けにこのセミナーの模様をまとめたビデオが埋め込まれている。1:51電力革命児賞の発表(ウルズラ・スラーデク)、2:24 授与式、2:30 受賞者の代理として出席した斎藤さんのインタビュー(数字はその場面の始まりを示す)。

(報告 あっきい 写真 斎藤さんの動画より)

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Author:原発いらない女たちのテントひろば
「未来を孕むとつきとおかのテント行動」を引き継ぐ新ブログにようこそ!

「原発いらない女たちのテントひろば~福島とともに」は
東京・霞が関の「経産省前テントひろば」を拠点とした、女性による脱原発・反原発のアクションです。
 年齢もバックグラウンドも様々な女たちが、福島原発事故に対して立ち上がった「原発いらない福島の女たち」につながろうと集まって来ました。
 それ以来、つねに新しい仲間を迎えながら、「原発を止めたい」「子どもたちを守りたい」という思いのもとにテントを拠点に多様な活動を続けています。
 生きること、暮らすこと、命をつなぐこと。小さく、ささやかなものへの眼差しを大事にして、「原発」という強大な構造を変えて行けることを固く信じて。
 このブログはもう一つの「テントひろば」。誰にでも開かれた、語らいと学びと交流の場です。世界中の女たちに呼びかけます。
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