原発いらない女たちのテントひろば~福島とともに

控訴審第一回口頭弁論報告集会の感想文 証言をやりきった2人を中心に明るい雰囲気で

東京高裁での三時間半におよぶ証人尋問、亀屋幸子さん、黒田節子さんの証人尋問は、それぞれに約90分かけてしっかり行われた。そのあと、直ちに参議院議員会館講堂にて報告集会が開かれた。約150名が集い、17時30分を期して、乱鬼龍さんの司会で始まった。

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今日の口頭弁論そのものについては、テント側のシナリオ(主張)は、ほぼ遂げられたという手応えからか、会場の雰囲気を明るく感じたのは私だけではないだろう。乱鬼龍さんの表情も明るい。
まず、大口弁護士が裁判の概要を報告し、証人の亀屋幸子さん、黒田節子さんと、福島から渡辺みよ子さんが発言した。(渡辺さんは控訴審事前集会でも発言されていた。)

■亀屋幸子さん
Image2亀屋

「真っ正直」という言葉は亀屋さんのためにあると思った。亀屋さんは、被災者の代表として「せいいっぱい」に訴えたこと、しかし、自分の言葉が「裁判官に通じたどうか心もとない、届かなかったとすれば自分の力が足りないせいだ」、と言われた。そして裁判官にDVD(映像)を見るよう訴えたことを話された。
法廷での、渡辺和義裁判官(右陪審)の質問が影を落としているのだろう。渡邉裁判官の質問は、亀屋さんに親類縁者の動向を細々と尋問し、親類縁者のうち福島県内で避難生活を送っている人々も少なくない事を確認するものであった。渡邉裁判官はまるで大人が幼児に質問しているような口ぶりで亀屋さんを尋問していた。ものすごく気色悪かった。髙野伸裁判長の態度は証人に誠実に向き合っているようだったし、右側の裁判官も真面目に聞いているように見えたが、裁判官に希望的観測は禁物だった。

■黒田節子さん
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黒田さんは力説した。「悲惨を直視し、事実として向き合うことなくしては、何事もはじまらない。」
証人尋問は、「原発は要らない・フクシマの女たちの会」の発足から第二テント設営までの経緯、テントとの関わりを解説して、それが“女たち”であるこの必然性、脱原発を目ざす諸グループ、個々人が自発的に集い、緩やかに寄り合って、「テント広場」としての運営が保たれている「場」であることを明らかにしたが、それは同時に、言葉を絶した悲惨を自分の言葉にして発すること、現場を自らに引き受けなおす営為に他ならない。
黒田さんも90分は長くなかったが、良かったかどうかわからない、と感想を述べられた。お二人は全力で成し遂げてもなお、無力感にさいなまれている。裁判で証言するということは、ほんとうに辛いことなのだ。

■渡辺ミヨ子さん
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渡辺さんの福島の現状報告によれば、非難解除地域に70%の人が戻った。政府は帰還させるために一生懸命援助しているが、健康被害も浮上しており、みな不安を覆い隠せなくなってきている。「喪失を乗り越えるにはそれときちんと向き合わなけれならない。」(黒田さん)。しかるに現実は、喪失を忘れようとしている。いや、政府が忘れさせようとしているのだ。

■淵上太郎さん、正清太郎さん
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続いて、形式上の地裁被告、控訴審控訴人である淵上太郎・正清太郎さんが発言した。
淵上さんは、亀屋さん、黒田さんの証言への感想を述べ、「事実の直視」して、目前に迫る川内原発再稼働の阻止にむけて、声をあげゆく決意を述べた。
正清さんも淵上さんに同じく、今日の証人尋問をうけて、「原発は必ず止めることになると、確信をもって、私たちは頑張ってゆく!」と断言された。
 淵上さんも正清さんの発言は、すでに控訴審が「被告」はこの二人だけかどうかという地裁の争点を超えて展開していること、少なくとも淵上さん・正清さんをはじめ、テント側当事者は今日の裁判でそう確信しているようだ。
 高裁は、地裁が国側の設定に従って黙殺したところから控訴審を開始している。
亀屋さんへの尋問は、テント設営の原因と存在意義を論証するものになるし、黒田さんへの尋問は、テント運営の自主性を証すとともに、さらにその根底には、第2テントの運営当事者である女性を無視した国側の女性蔑視が問われざるを得ない。
地裁の下した仮処分を差し止めたのも高裁だ。高裁の地裁とは異なるスタンスを見てとるのは甘いだろうか?
控訴審が実現し、即日結審ではなく三回の開廷が決まった時点で、テント裁判は姑息な<スラップ訴訟>の次元を超え出たと思う。
■内田光博氏によるレクチャー
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高裁の姿勢は、地裁判決直前に提出された憲法学者内藤光博氏の意見書が大きく作用しているのではないかと思う。内田意見書のことは、地裁判決の報告会でたんぽぽ舎の柳田さんの発言で知った。「テントの意義を表現の自由から主張した素晴らしい意見書」と目をキラキラさせて発言されていた。そうか憲法問題なのか。
控訴審は直接には「土地明渡請求を認めたことについてと同時に、訴訟参加(独立当事者参加)を却下したことの是非を争う場」なのだが、憲法が絡んでくるとなると、争点の次元、裁判全体の質がまるで変わってくるだろう。

報告会ではその内藤光博さん自身が、テントが「表現の自由」であることを解説される。
2月19日に地裁に提出された意見書、「いわゆる「経産省前テントひろば」に関する憲法学的意見書 -表現の自由と「エンキャンプメントの自由」が配布され、内田さんはその論の要点を追ってくれた。内田さんによると、
経産省前テントは、憲法二十一条一項「集会の自由」の保障をうけるものである。
よって「集会の自由の実現行為」は保障されねばならず、それには政府による「すべての人々に開かれた集会の場」の提供の保障が前提となる。
「集会の自由の実現」方法は、平和的な方法であることを前提として、多種多様な形態が考えられ、「経産省前テント広場」における「テントの設営および泊まり込み」、すなわち「エンキャンプメント」もその効果的な方法と考えられる。
「経産省前てんと広場」のエンキャンプメントは、「人間に値する生存」の確保のための「やむにやまれぬ意思表示・請願行動」に他ならない。
それを<スラップ裁判>で妨害しようとする行為は、違憲である。
訴えられるべきは、むしろ国側ではないか!!!


さて、「表現の自由」というと、私などは目下話題のろくでなし子さんや、写真集、原発反対インスタレーションの締め出し問題などを想起するが、根本にあるのは、「人間に値する生存」のための「やむにやまれぬ意思表示」だった。目からウロコだ。だから憲法で保障する。民主主義、人権の基礎なのだ。
もう、国側の意図するありきたりの不動産や物品の帰属や使用料といった民事裁判の次元(借金、不渡り、破産といった揉め事)ではありえないばかりか、事は憲政にかかわる大問題なのである。
国側は地裁の時とまったく同じ論法で押し切るれると、いまだに見くびっているとしても、裁判所はこの意見書を前にしてしらばっくれていられようか?
自信を持ってテントを保ってゆく理論武装ができました。(内田氏は「エンキャンプメント」は軍事用語だけれども、と注釈)

最後に、橋ゆきさんがテントの泊まりや座り込み、お茶出しなどの応援者を募集の呼びかけた。私は、前回の呼びかけをきっかけにしてテントに関わるようになって、この報告文を書いている。
勇気百倍の報告会であった。

(報告:猩々子 写真:ユープラン)

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Author:原発いらない女たちのテントひろば
「未来を孕むとつきとおかのテント行動」を引き継ぐ新ブログにようこそ!

「原発いらない女たちのテントひろば~福島とともに」は
東京・霞が関の「経産省前テントひろば」を拠点とした、女性による脱原発・反原発のアクションです。
 年齢もバックグラウンドも様々な女たちが、福島原発事故に対して立ち上がった「原発いらない福島の女たち」につながろうと集まって来ました。
 それ以来、つねに新しい仲間を迎えながら、「原発を止めたい」「子どもたちを守りたい」という思いのもとにテントを拠点に多様な活動を続けています。
 生きること、暮らすこと、命をつなぐこと。小さく、ささやかなものへの眼差しを大事にして、「原発」という強大な構造を変えて行けることを固く信じて。
 このブログはもう一つの「テントひろば」。誰にでも開かれた、語らいと学びと交流の場です。世界中の女たちに呼びかけます。
「強く、そしてしなやかにつながっていきましょう!」

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