原発いらない女たちのテントひろば~福島とともに

東電福島原発事故 東電幹部の責任を問う刑事裁判開始(その二)

〇福島原発事故強制起訴裁判とはなにか

Image2訴訟

裁判の様子

★起訴状朗読と被告の認否
 裁判に訴えた側=原告・被災者たちの検事役(指定弁護士)が被告・東電の罪状を明らかにするために、裁判はまず、起訴状朗読から始まりました。検察役の指定弁護士が、東電をなぜ起訴したのかの述べました。
それに対して、被告の東電の3人が「罪状認否」、すなわち、起訴を認めるか、否認するかを表明し、東電側の3人の被告は罪状を否認しました。

★冒頭陳述
本裁判では、被告人が原子力発電所を設置・運転する事業者を統轄するものとして、その注意義務を尽くしたのか、尽くしていれば今回の原子力事故は回避できたのか、ということが問われている。

〇被告人らの立場とその責任
 被告人勝俣は代表取締役社長や代表取締役会長となり、最終的に原子力発電所の安全を確保すべき義務と責任を負う地位、最高経営層に属する者として、本件原子力発電所を所管する原子力・立地本部等を通じて、その構造、設備等の技術基準適合性にかかる情報を常に把握し、安全性に関わる重要な事項が判明した場合には、防護措置その他の適切な措置を行うべきか否かの判断を行うなどの会議等を主宰して、その席上で適切な指示を行う立場であった。
 被告人武黒は常務取締役原子力・立地本部本部長、取締役副社長原子力・立地本部本部長、フェローとして、被告人武藤は執行役員原子力・立地本部副本部長、常務取締役原子力・立地本部副本部長、平取締役副社長原子力・立地本部本部長として、東京電力の原子力発電所を統轄し、原子力発電所における原子力安全を最優先に、その設備の管理等を行う立場であった。特に被告人武藤は、被告人勝俣を補佐して本件原子力発電所の安全を確保すべき義務と責任を負う地位にあった。

〇本件の争点と経過
 この裁判では、被告人らがそれぞれ、本件原子力発電所に10m盤を超える津波が襲来することを予見できたか否かが主要な争点です。(以下、主要な経過をタイムテーブルで示す)。

福島原発事故の経過
1995年1月17日、阪神・淡路大震災が発生
・99年、東電等の電力事業者、設計上の想定津波水位の設定等に関する基準を策定するため、社国法人土木学会に対し、原子力発電所における津波評価についての研究を委託
・2002年2月、土木学会、「原発の津波評価技術」を公表
・02年7月、文部科学省地震調査研究推進本部の地震調査委員会、「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価について」を公表
・02年10月、被告人勝俣:代表取締役社長
・04年12月、スマトラ島沖地震で津波が発生、マドラス原子力発電所2号機の非常用海水ポンプが浸水
・04年7月、被告人武黒:電事連・原子力開発対策委員会総合部会 部会長(~08年6月)、その後、原子力開発対策委員会委員長
・05年4月、被告人勝俣:電事連会長(~08年6月)
・05年6月、被告人武黒:常務取締役 原子力・立地本部本部長。被告人武藤:執行役員 原子力・立地本部副本部長
・06年1月、原子力安全・保安院と独立行政法人原子力安全基盤機構、電事連や各電力事業者が参加して「内部溢水・外部溢水勉強会」を継続的に開催
・06年5月11日、第3回溢水勉強会で、本件原子力発電所5号機に津波が無制限に襲来した場合、非常用電源設備や各種非常用冷却設備が機能喪失し、全電源喪失に至る危険性があると報告
・07年6月、被告人武黒:取締役副社長 原子力・立地本部本部長
・07年7月16日、新潟県中越沖地震が発生。東京電力、この地震による事故を契機に新潟県中越沖地震対策センターを設置
・08年6月、被告人勝俣:代表取締役会長。被告人武藤:常務取締役 原子力・立地本部副本部長
・08年6月10日、地震対策センターのメンバーが地震本部の長期評価を取り上げるべきとする理由及び対策工事に関する検討内容等を、被告人武藤に資料を準備して報告
08年8月上旬、被告人武藤、被告人武黒に津波水位の最大値が敷地南部でO.P. +15.707mなる旨の計算結果を報告
・08年8月22日、東電設計、東電に対して、地震本部の長期評価を用い、房総沖地震の波源モデルを福島県沖海溝沿いに設定した場合の津波水位が本件原子力発電所敷地南部でO.P. +13.552mとなる計算結果を示す
・08年9月10日、本件原子力発電所の所長らに対して耐震バックチェック説明会
・09年2月11日、被告人ら3名「中越沖地震対応打合せ」に出席して「土木学会評価手法の使い方を良く考えて説明しなければならない。もっと大きな14m程度の津波がくる可能性があるという人もいて、前提条件となる津波をどう考えるか、そこから整理する必要がある」の発言を聞く
・10年6月、被告人武藤:電事連原子力開発対策委員会総合部会 部会長(~10年6月)、その後、原子力開発対策委員会委員長
・10年6月、被告人武黒:フェロー。被告人武藤:取締役副社長 原子力・立地本部本部長
・11年3月11日、東北地方太平洋沖地震の発生

〇原告側指定弁護人のまとめ
 東電設計による津波評価の計算結果は、本件原子力発電所に10m盤を超える高さの津波が襲来することを示す。被告人武藤は平成20年6月10日、被告人武黒も遅くとも同年8月上旬には、上記計算結果を実際に認識していた。
しかも、被告人らが出席する「中越沖地震対応打合せ」等が継続的に行われ、席上、本件原子力発電所に関する様々な情報が報告され、とりわけ平成21年2月11日には、当時原子力設備管理部長が「もつと大きな14m程度の津波がくる可能性があるという人もいて」などと発言しているから、被告人勝俣も上記事実を知ることができた。
 このような状況である限り、被告人勝俣は、継続して本件原子力発電所の安全性に係る会社内外の情報を常に収集することによって、東電設計の計算結果の重大性は、十分に認識できた。被告人武黒も同様。
 被告人らは、発電用原子力設備を設置する事業者である東京電力の最高経営層として、本件原子力発電所の原子炉の安全性を損なうおそれがあると判断した上、防護措置その他の適切な措置を講じるなど、本件原子力発電所の安全を確保すべき義務と責任を負っていた。
 運転停止以外の「適切な措置」を講じることができなければ、速やかに本件原子力発電所の運転を停止すべきだった。それにもかかわらず、被告人らは、何らの具体的措置を講じることなく、漫然と本件原子力発電所の運転を継続した。被告人らが、費用と労力を惜しまず、同人らに課せられた義務と責任を適切に果たしていれば、本件のような深刻な事故は起きなかった。指定弁護士は、本法廷においてこのような観点から、被告人らの過失の存在を立証する、ということを陳述しました。

それに対して、被告側の弁護人も冒頭陳述で「予見できなかった」ことと、したがって対策を立てられず、被告は無罪と陳述しました。

〇原告、被告が提出した証拠物件の確認を行いました。

第一回公判は5時前に終わりました。これから、長い裁判になることが予想されます。

(まとめ報告:大賀)

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Author:原発いらない女たちのテントひろば
「未来を孕むとつきとおかのテント行動」を引き継ぐ新ブログにようこそ!

「原発いらない女たちのテントひろば~福島とともに」は
東京・霞が関の「経産省前テントひろば」を拠点とした、女性による脱原発・反原発のアクションです。
 年齢もバックグラウンドも様々な女たちが、福島原発事故に対して立ち上がった「原発いらない福島の女たち」につながろうと集まって来ました。
 それ以来、つねに新しい仲間を迎えながら、「原発を止めたい」「子どもたちを守りたい」という思いのもとにテントを拠点に多様な活動を続けています。
 生きること、暮らすこと、命をつなぐこと。小さく、ささやかなものへの眼差しを大事にして、「原発」という強大な構造を変えて行けることを固く信じて。
 このブログはもう一つの「テントひろば」。誰にでも開かれた、語らいと学びと交流の場です。世界中の女たちに呼びかけます。
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